フェルデンクライス身体訓練法 Ⅰ(M・フェルデンクライス / 安井武訳)

a0376003_21132464.jpg


自己イメージ



個人の行動力学


 われわれはだれしも、

それぞれちがったやりかたで

話したり、動いたり、

考えたり、感じたりするが、


いずれも歳月をかけてつくり上げてきた

自分自身についての

イメージに従っている。




自らの行動様式を変えるためには、

内部に抱いている

自分自身のイメージを


変えなくてはならない。



その場合に必要なのは、

言うまでもなく


自らの反応の動力学を

変化させることであって、



ただたんにある行動を

別の行動に置き換えることではない。




そのような変化は必然的に、

自己イメージの変化だけでなく、


行動を動機づけるものの性質や

関係するからだのあらゆる部分の

動かしかたに変化をもたらす。




 そういう変化が起こると、


各自がみな同じ行動

―たとえば字を書いたり、

言葉を話したり―

をする際にも、


そのやりかたに

いちじるしい相異が現われる。





行動の四つの構成要素


 われわれの自己イメージは、

あらゆる行動に含まれている


四つの要素

―運動、感覚、感情、思考

によって構成されている。




各要素が

特定の行動に

どのようにかかわっているかは

さまざまで、


行動を行うひとによって

異るけれども、



いかなる行動のなかにも

ある程度は

各要素がすべて含まれているであろう。




 たとえば思考するためには、

目が覚めていなくてはならず、


しかも自分が目覚めているのであり、

夢を見ているのではないことを

知っていなくてならない。



つまり、重力の場にたいする

自分の身体的位置関係を感じとり、

識別しなくてはならない。


従って、

運動、感覚、感情もまた、

思考に関係することになる。



 怒りや幸福を感じるためには、

ある姿勢をとり、

他の存在や対象物にたいして

ある種の関係をもたなくてはならない。


つまり、やはり動き、感覚し、

思考しなければならない。




 感覚する

-見たり聞いたり触ったりする-

ためには、


自分に関わるなんらかの出来事に

関心を抱いたり、

驚いたり、

気づいたりしなくてはならない。



つまり、運動、感情、

思考がなくてはならない。




 動くためには、

意識的であれ無意識的であれ、

すくなくとも感覚のひとつを

使わなくてはならず、


そこには感情と思考が含まれる。



 これらの行動の諸要素が

ひとつでも弱まって消えかかると、

生存そのものが

危険にさらされるであろう。


たとえ短時間であれ、

運動が一切なくなると、


生きのびることはむずかしい。



すべての感覚が失われたところに

生命はない。


感情を失うと、

生きる気力はなくなる。



呼吸をひきおこす力は、

息苦しさの感情である。


少なくとも最小限の反射思考がなくては、

かぶと虫といえども長くは生きられない。

a0376003_21132464.jpg

[PR]
by sinonome-an | 2017-08-25 08:49 | 本からの資料

心と身体を観照する


by しののめ庵