フェルデンクライス身体訓練法 Ⅳ(M・フェルデンクライス / 安井武訳)


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目の覚めた状態を構成する

諸要素



 目の覚めた状態は、

感覚、感情、思考、運動という

四つの要素から成り立っている。



これらの要素のどれひとつとっても、

人間変革の

あらゆる方法の基礎として

使うことができる。





運動の矯正が

自己改革の

最上の手段である


 目の覚めた状態を構成する

四つの要素のうちのどれかひとつが、

他の三つの要素に

影響を及ぼすことはさけられない。




自己を改善する主要な手段として

運動を選ぶという根拠は、

次のような理由がある。




一 神経系は主として

  運動にたずさわっている


 運動は、

他のいずれにもまして

神経系のなかで占める位置が重い。


というのも、

引力に抗して

からだを保持するために脳によって

ひきおこされる



多面的で入り組んだ

一連の行動なしには、


感覚、感情、思考すら

ありえないからである。




どこにいるかだけでなく、

どのような姿勢をとっているかが

わかっていなくてはならないからである。


重力の場で

他者のからだにたいしてとる

自分の姿勢に気づいたり、



その姿勢を変えたりするためには、

感覚、感情、思考力を

使用しなくてはならない。




 目のさめているときには、

全神経系の働きが

積極的にかかわり合っているわけだが、


このことは

自己変革の

あらゆる方法のなかに生かされており、



四つの要素のうちの

ひとつしか問題にしない

と主張する方法の場合でさえ、

実際にはそうなのだ。



二 運動の質は識別しやすい


 引力にたいするからだの調整機構は、

他の要素よりも

はっきりと確実にとらえることができる。


怒りや愛や憎しみ、

あるいは思考よりも、



運動についてはるかに多くを

われわれは知っている。


運動の質のほうが、

その他の要素よりも

比較的らくに

認識することができるのである。




三 運動の体験は豊富である


 だれでも運動の体験や能力のほうが、

感情や思考の場合にくらべて

豊富である。


たいていのひとは、

過敏症と感受性の区別をせず、



高度に発達した感受性を

欠陥とみなす。


そしてわずらわしい感情を圧し殺し、

そのような感情を

ひきおこしかねない状況を回避する。




同じく思考の場合も、

それを抑制したり

中断したりするひとは多い。



自由な思考が

公認の行動原理にたいする挑戦

とみなされるのは、


なにも宗教の場合だけでなく、

人種問題、経済、道徳、

セックス、芸術、

さらには科学の分野でも変わりがない。




四 運動は自己評価の要である


 ひとの身体構造と運動能力は、

おそらく他のなににもまして

その自己イメージにとり

重要なものであろう。



言葉の発音に欠陥があるとか、

容姿の面でほかの子供とどこかちがう


と思われるような点があると

気づいている子供をよく観察すれば、



そういう発見が


その子の行動に強い影響を

与えるだろうと

確信せざるとえない。




たとえば、

背骨が正常に発達していない場合、


鋭い平衡感覚を要する動きをするのは

困難であろう。

転びやすく、

他の子供ならば



さりげなくやってのけることをするにも、

つねに意識的な

努力を払わねばならないであろう。


他の子供とはちがった成長を

とげてきたのであって、



なにをするにも

事前に頭で考えて

準備をととのえねばならない

ことに気づき、


自分の自動的な反応を

もはや当てにすることはできない。




その結果、

うまく動けないということが、


その自尊心を徐々に傷つけ、

ねじまげてしまい、



自然のままの性向にそった成長を

妨げるような行動に、

その子供を追いやってしまうのだ。


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by sinonome-an | 2017-09-15 18:00 | 本からの資料

心と身体を観照する


by しののめ庵