病名のもつ暗示

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病名のもつ暗示


あれほど高支持率を得ていた小泉総理も

田中外相更迭を機に

一挙に支持率を下げました。


あの支持率は何だったのか。

国民が

小泉人気の催眠術にかかっていた

のではないかとも噂されました。



人は簡単に催眠術にかかります。



ある時、見学にきていたS君の手を

彼自身の頭に付けてやり、

「この手はもう離れない!」

と力強く私が言いますと、


彼の手はどんなにもがいても

頭から離れなくなってしまいました。


もちろん、ワンツースリーの掛け声で

手が離れることを宣言して離れましたが、

少し彼はびっくりしていました。


こんなに簡単に催眠術にかかる

とは思っていなかったようです。


ただ、

私は確信をもって言ったことであり、

彼は私のことを

それなりに信頼してくれていたことも

効果があった理由かもしれません。




私たち医療者が

患者さんに言ったことは、


信頼関係が深ければ深いほど

影響が大きく、

たとえば


「この病気は一生治りません」

と宣言したら、


患者さんが

それを信じきることを

覚悟しなければなりません。



でも、

「大丈夫ですよ」と

力強く言われたことで


元気を取り戻すことも

珍しくはないはずです。




とくに

西洋医学的な現代医療では、

病気が部分別、病気別でくくられ、


しかも病気には

マイナスのイメージがあるために、


そのことが私たちを苦しめている

のではないかと思います。



長年慢性胃炎と信じていた人や

過敏性大腸炎で苦しんでいた人が、


病気の意味を知って


短期間で

ウソのように治ってしまった例などを

私自身体験するにつけ、


心と体の不思議に

いつも魅せられています。




ここで、近年爆発的に増えた

「アレルギー」といわれる病気について

考えてみたいと思います。



科学的な分析が進み、

その対象となる「敵」を見つけだし、

治療する方法がとられてきましたが、


それほど効果を発揮しているとは

思えません。



いわゆる「花粉症」については

昭和三十年代から学会に登場し、


果てはマスメディアに

取り上げられるまでになりました。



私見ではありますが、

心と体を総合的に診る

ホリスティック医学からみて、


「クシャミ、鼻水、目のかゆみ」の

諸症状が



冬から春への転換期に

エネルギーの温存(冬)から

解放(春)へ適応せんとする

生物的な反応ではないか、


とするのは言い過ぎでしょうか。

そして、それが


「花粉症」とくくられたことによって、

心がそのように認めてしまったことが、

なおさら治りにくくしている

ように思えてならないのです。



また、花粉情報のメリットは

どんなところにあるのか疑わしく、


花粉に対する警戒心をあおることは

かえって

症状を強めることになりはしないか

とさえ思います。




また「アトピー」については、

軽々しくこの病気について

述べるつもりはありませんが、


時々、幼い子を連れたお母さんから

「この子の湿疹はアトピーでしょうか?」

と尋ねられることがあります。



医師である私のこの時の返事によって、

この親子の運命を決定づける

ことになるのではないかと、


恐れに似た感情を持ちます。



「これはアトピーですね」

と断言されると、


それを受け入れた親は

世間並みの「アトピー」の

決して愉快ではないイメージ

を描いて苦しみ、



我が子をそのような目で見ながら

治療に奔走することになるでしょう。


そこで私は

「これはアトピーに似ているけれど

違いますよ」と

答えることにしています。



なぜなら、

こうすれば治るという治療法も

まだまだ模索中であるからこそ、


正確な診断より、

いたずらに親に不安を与えないこと

を優先したいからです。




「病名」には

催眠術のような作用がある・・・


常々気になっていることです。



樋田和彦(耳鼻科医)


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by sinonome-an | 2018-02-01 00:00 | ちょっと ひと息

心と身体を観照する


by しののめ庵