体の中の原始信号  中国医学とX-信号系 Ⅰ (間中喜雄 板谷和子)

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三十億年の記憶


人類の祖先が

この地球に姿を現したのは

五、六百万年前、


その前段階の、

人類らしきものが

形成されるまでに要した時間は

三十億年といわれている。



気の遠くなるような

時間の流れがあって、


人間の内部には

いろいろな情報系が

できあがった。



それはたいへんな重みを

持っているはずである。



構造的には目に見えず、

手に触れられないからといって、

無であるとして

忘れられてしまうことはできない。




私たちの身体には

三十億年分の記憶が秘められていて、

細胞の一つ一つが

想像を絶するほど複雑な


“知性”を持っている

と考えられる。



決して脳や神経系だけで

考え感じているのではない。



このような観点から自然界を眺めると、

たとえば小さな渡り鳥、

学校教育も受けず、

文字も知らないはずの小鳥でさえ、


その体には高度の”記憶“が

組み込まれていることに気づく。



シギやチドリは、

シベリアや遠くはアラスカで繁殖し、

夏の終わりに日本へ立ち寄る。


そして越冬のために

太平洋諸島やフィリピン、ボルネオ、

スマトラ、ニューギニア、

オーストラリアあたりまで渡っていく。



決してその小さな脳だけで考えて

できることではない。


鮭の稚魚が海に下り、

成長して産卵のために

またもとの川に戻ってくることも

よく知られているが、



大海から何を目印にして、

無数にある川の一つである

生まれた故郷に帰ってくるのか。


これを一応本能などと呼んでみても

その本体はわからない。




渡り鳥も鮭も

このような複雑で困難な

長い旅行に耐えて、

子孫を残していくのである。


現代の人間が考えているような

知性だけで処理できるような、

簡単な仕事ではない。



我々は、

太平洋を

数百人の客を満載して横断する

飛行機の複雑な機構、計器、


操縦システム、操縦士の頭脳、

訓練等に驚きの目を向け、

称賛する。



それでも飛行機は時々大事故を起こす。


飛行機が考案されて実用化され、

商業化されたのは、

わずか百年の

知識の蓄積によってである。




渡り鳥の可憐な体の中には、

数億年の間に蓄えられた

情報の集合があるのである。


飛行中に墜落もしなければ、

着陸時にひっくりかえって

事故を起こすこともない。



感心するなら

この方を感心すべきであろう。


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by sinonome-an | 2018-02-09 00:00 | 本からの資料

心と身体を観照する


by しののめ庵