体の中の原始信号  中国医学とX-信号系 Ⅱ (間中喜雄 板谷和子)

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部分は全体を表す

最近、

ニューサイエンスを提唱する人々が、


目に見えない映像、

手で触れられない実像、

認識できない心理の世界


にも開眼しはじめたのは、

たいへんな進歩である。




アメリカの脳外科医

カール・プリブラム(Karl Pribram

によって提唱された


「脳のホログラフィー理論」

と呼ばれているものがある。



ホログラフィーとは、

レーザー光線を用いた

立体画像のことである。


対象をレーザー光線でとらえ、

その反射光との干渉波を作って記録し、

この平面写真のネガにあたる

ホログラム・プレートに


再びレーザー光線を当てると

立体像が現れる仕組みである。



不思議なことに、

このプレートを

どんなに細かく分割しても、


ひとつひとつの断片から

全体像が得られるという

特徴を持っている。



このホログラフィーをモデルとして、

脳の記憶や認識の働きを

考察していった結果生まれたのが、

脳のホログラフィー理論である。



つまり、

脳のどの部分も、

脳全体の働きを反映


もしくは

包含している

と見るのである。



実は、この

「部分のうちに全体がある」

というホログラム的見方は、


中国医学においては

昔から言わず語らずのうちに

利用されてきた。




中国古来の鍼術に

耳鍼法と呼ばれるものがある。


耳介上に全身を投影したツボがあり、

耳だけで全身の診断、

鍼の治療が可能である

というものである。


これはフランスのノジエが

さらに組織化し、

有効であることを証明した。



この他にも

体の一部分のみで

全身を治療ができるという、


部分と全体の相関がうかがえる

診断法、治療法として、


手指鍼法、頭鍼法、面鍼法、

打鍼法(主として

腹部領域だけで全身を治療する)

などが挙げられる。


医療の領域からは逸脱するが、

手相、人相等も

これに連繋するものであろう。




そもそも中国医学には、

現代医学の側からは

説明できないことがたいへん多い。



たとえば、

手の脈に指を三本当てて

左右の脈を比較し、


臓器の状態を診断する

方法がある。



また、

臓腑を五行説によって

木・火・土・金・水と五行で分け、


各手足上にもそれぞれに対応する

ツボ(五行穴)があるという

考え方がある。



これは一般の反射理論、

神経断区とはなじまない

パターンであるが、


これをホログラム的に見れば、

そのようなとらえ方も可能である。



鍼灸家の中には、

現代医学になじまない

経絡説や五行説はほとんど無視しつつ

治療を行っている者もいる。



しかし、説明できようができまいが、

臨床の現場では

確かに存在する現象である。



部分と全体の相関という

大きな設計図を忘れて、


もっぱら部分をもてあそんでも、

鍼術の真意は得られない。



中国医学の古典の表現や記述が

現代医学用語としては

たどたどしく思えても、


その奥にある

貴重なソフトウェアは

無視すべきではない。


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by sinonome-an | 2018-02-16 00:00 | 本からの資料

心と身体を観照する


by しののめ庵