腰痛「原因不明85%」の現実

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5年前、左足のしびれがひどかった

仙台市の主婦A子さん(56)は、

地元の病院で椎間板ヘルニアと診断された。



「手術しかない」と言われ、

体に負担が少ない内視鏡手術の実績がある

福島県立医大病院(福島市)の整形外科を受診した。


ところが

助教授の紺野真一さんの説明は、

拍子抜けするものだった。



「画像上ヘルニアはあるが、

手術をしなくても良くなる。


痛みはそれだけが原因とは限らない」

と説明した。



椎間板ヘルニアが腰痛の原因ではない?



Aさんは、歩くのもつらいので入院したが、

その間に医師の説明の意味が少しずつわかってきた。


腰痛の病名は様々だ。

原因により椎間板ヘルニアのほか、

脊椎管狭さく、腰椎すべり症などの診断がつく。


日本腰痛学会会長で同大教授の菊地臣一さんは

「画像や問診から病名がつけられるが、


実は、画像と原因が

明快に一致する例は少ない」

と言う。


だから、漠然と

「腰痛症」とされることも多い。



無症状の人でも、

腰の画像診断をすると、

3割にヘルニアが見つかる。


逆に痛みを訴えていても、

半数近くは画像上に異常が見つからない

という報告もある。



「原因が特定できる腰痛は15%未満」

と欧州の診療ガイドラインは明記する。



腰痛はありふれた症状ながら、

実はよくわかっていない。

~中略~

同病院では、


「仕事や家庭での悩み事、

ストレスなど心理的な苦痛も、

肉体的な痛みを増幅させる」


という観点からも治療に取り組んでいる。




腰痛の入院患者には、

心理的なストレスを測るため、

400項目の問診テストを実施し、

心理状態に応じた対応を考える。


腰痛での入院患者の1~2割は

精神的な問題が影響しているという。



激しい痛みを訴えるA子さんも、

入院中に精神科でカウンセリングを受けた。


忙しい夫とすれ違い、

子供のけがなど生活での

心配や不安を抱えていた。



1か月の入院中に痛みは徐々に和らぎ、

左足のしびれも消えた。


退院後も痛みは時折出るが、

以前のように歩けないほどの

強い症状はなくなった。

現在も痛みが出ると受診する。



A子さんは

「悩み事が痛みを強めることもあるんですね。

私の場合、手術せずに済んでよかった」

と話している。



腰痛の多くは、

手術で治るというものではない。

痛みをいかに和らげるかという

ケアの視点が求められている。



読売新聞 過去の記事より


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by sinonome-an | 2018-03-16 00:00 | ちょっと ひと息

心と身体を観照する


by しののめ庵